ジャマイカ:3 「強盗に遭って死にそうになる:前編」
夕方、大通りを歩いていると、突然!カラダごと駐車場の奥に引っ張り込まれて
胸ぐらを掴まれたまま「キルユー」とか言われる。
12月のジャマイカは、子供にクリスマスプレゼントを買うお金の為に強盗を行う
「クリスマス強盗」が盛んな時期。
一見ココロ温まる「ちょっとイイ話」だけど、被害に遭う方はシャレになりません。
久々に「ちょっといつも以上に気をつけなきゃなぁ。」とか何となく
ピリピリさせられる雰囲気を持つ街、キングストン。
・まずそういう地域自体に出来るだけ行かない。
・行ってしまった場合、日が沈んだらまず外出しない。
・そういう場所では日が沈んでからの外出は短い距離でもタクシーを使う。
・常に後ろを何度も振り返ったり周りを確認する。
が、最低旅ルール!
歩くの5分だけだから。毎日通る道だから。って完全に気を抜いてた!
バカだった!!!
駐車場の壁に体を押さえつけられたまま、声を出さないように口元を塞がれる!
ヤバイヤバイヤバイ!
強盗の指を噛む!でも動揺して全然チカラが入らないので甘噛み!
強盗の頚動脈をおさえる!引っ掻く!手の小指を逆にひねる!頭付きする!
チンコ蹴る!でも動揺して全然チカラが入らないので全く抵抗になっていない!
旅の為に半年間、週イチで習った護身術も全く役に立たない!!
中途ハンパに抵抗したので、強盗は更にエキサイト!
胸ぐらを掴む手に力が入る!つーか痛いっての!いやそれマジ息出来ないっての!
ていうかかイキナリ襲われたら誰でも焦って抵抗するだろう!!!
でもまぁ、本当に強い人でなければ、バトルしちゃいけません!
普通にケガするから!!
状況の悪化を恐れて自ら、
ホールドアップ。
両手をあげる。
「マネー。」とか言われる。
オーケー分かったよ。有り金全部出すよ。ブカブカズボンのポッケの中だよ。
自分で探りナヨ。
ホールドアップ中、怖い。とかの感情は一切無く、
「あー私はココでお金盗られてレイプされて死ぬんだ。」とか、超冷静。
強盗の目は完全に見開いていて、血走っているのかギラギラしていて
「あー本気のヒトの目は赤くなったりするんだー。スゲエなぁー。つーか
コイツ多分クスリやってんなぁー。」なんて超淡々と考える。
有り金。つっても散歩程度だから20ドルしか持って無い。被害額自体は、小さい。
身体チェックされても、貴重品とか入れてるマネーベルトもユースホステルに置いて
来てるから持って来て、無い。
「もっと無いのか。」とか言われてもゴメン。本当に持ってない。
でも20ドル持ってて良かった。
もし5ドル位しか持って無かったら、相手、余計に逆上してただろうから。
そして全力での暴力を振るってこない事、更に奥に連れ込まれたりはしない事。
から考えて、完全にお金目当てのみの強盗。
でもとりあえず何かされたらイヤなので、
胸ぐら掴まれたまま、目をじいっと見て、ゆっくりと、押し殺した声で、言う。
「私は、悪い伝染病にかかっている。伝染病。うつる。うつるよ?
そして私はもうすぐ、死ぬ。だからコレが最後の、バケーション。」
最後の、バケーション。というトコロを2回、言う。
冷静に考えて、あまりに嘘臭い嘘。
でも嘘臭過ぎて、逆に本当っぽい。
そのコトバのおかげか、お金を手に入れたから仕事が終わった安心感からか、
強盗のチカラが一瞬抜けたその瞬間、駐車場に眩い二つの大きなライトと共に
偶然!車が入って来た!
助かった!!!!
ダッシュする強盗!
足、超速えー!!!
さすが黒人は運動能力が高けえなぁ。足、速いなぁ。なんてまた冷静に思いつつ、
そのまま私も宿まで全力で走る!
もちろん強盗を追いかけたりとかはしません!危ねえから!
宿に滑り込んで部屋の扉の鍵を2箇所かけて、
ベッドに倒れ込んで、ようやく一息つく。
ペットボトルの水を飲む。むせる。
そしてじっとりと汗をかいていてビックリする。
もう明日、この街を出よう。
レゲエラヴな訳じゃ無い。ガンジャが好きな訳じゃ無い。
ただただ踊りたくて踊りたくて長くいたこの街。
もう出よう。この街を出よう。この国を出よう。
強盗に引っ張られて首のトコロが伸びてしまった上着を視界に入らないように
バッグにしまい込んで、半泣きで眠りにつく。
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