ジャマイカ:1 「レゲエとガンジャの国で死にそうになる」


ジャマイカはレゲエとガンジャの国だと言われていますが、果たして・・・?

店先から。通り過ぎる車のカーステレオから。道路脇に積まれるサウンド
システムから。ちょっとどうかと思う程、
あまりにレゲエは街に溶け込んでいます。普通です。

そして店先から。通り過ぎる車から。道路脇に座り込んでいる人達から。
ちょっとどうかと思う程、普通に立ち昇るガンジャの匂い。
もちろんジャマイカでもガンジャは違法です。でもレゲエ同様、あまりに街に
溶け込んでしまっていて、既に普通です。生活です。日常です。

そして夕刻ともなれば仕事中でも当然の如くレゲエでガンジャ。
爆音でダンスレゲエのかかるガソリンスタンドへタクシーで行くと、
店員のオッサンはガンジャを吸ってて目が完全に虚ろ。
ぼんやりしてガソリンと軽油を入れ間違えたりしないかとドキドキする。


そして、ジャマイカ人も「あそこは危ねえから行っちゃダメだ!」と言う、
昼間も迂闊に一人で散歩出来ないような、時折銃声の聞こえる危険地帯
ゲットーど真ん中の家族の家に、うっかり居候させてもらう。

その家は音楽の国らしく、ステレオだけはあるモノの、ソレ以外に家具は無く、
電気は直接電線から勝手にひいていて、ガスは通って無くて、拾った鍋を使って、
古新聞紙と小枝で火をおこして炭火で料理。

道路を数本離れた地域に住む平均的レベルのジャマイカ人が普通にマクドナルドへ
行ったり、一応ディスコ、ショッピングセンターが存在するこの街キングストンで、
多分マジで最低ラインの少しジャマイカまで来て、危険地帯でピリピリしながら
必死に小枝拾いを手伝う自分自身の無軌道さ加減。


夜はステレオでラジオを聴く。

1日中、レゲエばっかりかかるラジオは国営放送なのに、何度も音飛びしたり、
日本なら放送事故レベルの無音が長い事続いたり、後ろで「タカッタカッタカッ」とか
CD−R特有の音が聴こえたりして、超適当。

家の中で踊っていると扉がノックもされずに勢い良く開いて、近所の毎日パンツ
2枚チラ見せ履きのヤンチャな若者が「かけてくれ。」とCDを差し出す。
貧しい近所一帯でステレオを持っているのはウチだけ。
だからこのステレオは個人所有だけど、この近所一帯の所有物でもあって、
唯一の娯楽でもある。

よって毎晩、近所中に聴こえるように最大ボリュームでダンスレゲエ!!
深夜になってもボリュームは最大のまま!

つーか家の前まで来て聴いてる若いヤツラ、お前らイイ加減家に帰れ!
声とか聞こえるんだよ!ゲラゲラ笑うな!うるせー!早く寝ろ!!
つーか頼むから寝かせてくれ!!いやマジで!

毎日朝まで爆音は続く。


この街は貧富の差が猛烈に激しい。
車で1時間以内に動ける範囲以内に、プールのある豪邸と、雨漏りするバラック
小屋が同時に存在する。
ゲットーな生活具合はエコノミックな日本から来た自分から見れば悲惨に見える
貧しさだケド、ずうずうしい片寄せ合いぶりが何だか土着全開で、ちょっと
イイなぁ。なんて、想う。
でも隣の隣の家の子供が家の小銭とか勝手に盗ってゆくのはやめて欲しい。
仲良しだけど、治安悪過ぎ地域。

数日すると、お客さんがいるとお客さん目当ての強盗が入るから。と言う理由で
家主に追い出される。珍客を覗きに来る奴等が毎日ムダに増えていったから懸命。


荷物をまとめて移ったのは大きな庭を持つゲストハウス。
緑の芝生の上で雨露をはねて一人踊る。
お月様が雲からカオを出したり隠れたりしながら一緒に踊ってくれました。



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