チリ:1 「女装癖の人に逢って死にそうになる」


メキシコ人の家に居候した。
娘が食器の片付けするのをどうにかサボろうと頑張ってた。息子が小遣い値上げを訴えてた。
ウチと変わんねえなぁとか。

アメリカである式典にボランティア参加した。
説明会があんまり長いんで、ボラ参加者の半分はもう普通に聞いてなかった。
私も半寝だった。

ブラジル人に恋の悩み相談された。
彼氏が浮気をしてないか。本当に自分だけを好きなのか不安で仕方ない。
もっと美人なら人生は違うのに、と溜息をついていた。

ドイツ人は大声で寝言を言った。
外人も寝言言うとは思わなかったから尋常じゃなく驚いた。
わんこのオナラを初めて聞いた時くらい、ビックリした。

またチリで明らかに女装してる普通のオッサンを見かけた。
スカートはいて長髪のカツラかぶってるけど、スネ毛はボーボーだし、ガタイもいかつい。
チリ。つーか南米にもそういう趣味の人はいるんだなぁ。なんて、その時も変に納得した。


外国ってだけで、外人ってだけで、自分とはまったく異質のモノだと思ってた。
でも実際世界をぐるり回ってみたら、人間はみんなあんまり変わらなかった。
その現実は私を安心させた。
むしろ世界全部に親しみを感じた。いとおしさを感じさせた。
みんな、一緒なんだよね。ヒトツなんだよね。

だから、今この瞬間に銃を握ってるあなたも。そう、あなたも。



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