アルゼンチン:3 「虹と蝶々に愛されてちゃって死にそうになる」


洪水レベルの大量の水が競って落下する「イグアスの滝」に行く。


滝つぼでは猛烈な勢いのしぶきがドドドドドドと吠える吠える。
泡白色の水なだれと、濃緑色の透けて見える岩肌部分が、巨大な宇治かき氷を思わせたりもする。
ええ、全くもって錯覚ですが。

とにかくとにかくバカでけーし、ムダに迫力がある。
日本で作られた「静かで細いモノ」と言う私の「滝」概念は強制的に上書き更新。

滝下へと急ぐ沢山のしずく達はそのまま川を下り、海にも流れ込むだろう。
世界をぐるり旅して、いつかまたこの場所に戻って来たりもするのだろうか。
地球規模なのだろうか。エンドレス滝なのだろうか。全ては繋がっているのだろうか。
滝が凄過ぎて、一人言をブツブツ言うちょっと危ない人に。

そして気がつけば、滝幅いっぱいに七色の大きな大きな虹がかかって超ファンタジー!

虹の出現に超舞い上がった私は、今日のランチは虹定食!超メルヘンで超ドリームで
むしろアメリカンドリームね!なんてもう言ってるコトが完全におかしい。

赤髪でそばっかすで木靴を履いたグリム童話の登場人物にでもなったつもりで、
野いちごジャムを食パンに塗る。もちろん鼻歌まじりで。
心地良い風が吹く中、ジャムの甘い匂いに引き寄せられた沢山の蝶々さんが
触覚をヘムヘムさせて私の腕や腰に留まる留まる。
虹だけでも十分夢っぽいのに蝶々さんまで参戦?!
私の幻想世界許容量は完全にオーバー!
既にSF。



スキップ模様のまま、アルゼンチンの首都であるブエノスアイレスに向かう。
赤土と緑の大地をバスは走る。退屈だけど穏やかな風景。強い雨がどしどしバスの窓を
打ちつける。隣の席のお母さんと赤ちゃんがムダに乳臭いのが気になる。

ちなみに「南米のパリ」と呼ばれる大変ハイセンス絵本なこの街。
久々のリアルウインドゥショッピング&久々のオサレカフェでお茶☆が可能で
ギャル気分も満たされて最早最高。

また驚く程のカワイコちゃんがいっぱいいる。
更には手塚治虫みたいなベレー帽のお爺さんがカフェでカプチーノ飲んでるし、
髭を優雅に蓄えたダブルのスーツのジェントルメンがフランスパンを抱えて歩いてる。
でもその紳士のズボンのファスナーは全開で、ソコがアバウトな南米らしくて
ちょっと微笑ましい。

しかしながら歴史的理由で強烈な白人社会国家なアルゼンチン。つーか白人しかいねえ。
ペルーやボリビアではインディオ人種が、アジア人種を「チノ!」って叫んで差別する。
でもこの国では白人が、黒人や東洋人に対して異常な差別をしてくる。
ヨーロッパで「ジャップ」とか普通に言われたことを思い出す。
そゆのされると、日本人としての自分を否定しそうになる。
でも私は日本人なんだよ!!!!!!!!!


また「ある意味名物だから」と噂に聞いたブエノスアイレスの日本人宿「日本旅館」には
アフリカOUTなサバイバル旅人や、他の宿なら主役級のハードコア旅人達が休息をとっている。
つーかホントに何もしないでダラダラしてる。
朝7時に共同スペースに行くと宿泊客の半数以上が徹夜マージャンやってる。
更には不定期に王者決定戦をやってる。そのトトカルチョまでやってて何だか凄いことに。



夜遊びはラテン系ペアダンス「サルサ」のディスコにて。
セクシー黒キャミドレス&ピンクピンヒールで花のよに舞い踊るのは50歳オーバーのお婆ちゃん。
拍手喝采のショータイムを繰り広げるはプチ腹ボテ妊婦女子&ゲイ丸出しマッチョ男子ペア。

もちろん美男美女ペアもいるけど、彼らのダンスの方が断然カッコイイ!
人間見た目じゃないのだね!(←超今更)
私もああなりたいぜと、アルゼンチン人のように毎日ワインとチーズを食べてシエスタ
(昼休憩)を取る事からまず始めようと決意。相変わらず間違えてますか。そうですか。


宿に帰る始発バスの車窓から見えるのはオサレバーで卓球やってる様子。
何故早朝5時から卓球なのか。

うっかり寝過ぎて目が覚めるともう夕方。
宿を出てふと空を見上げれば丁度サンセット直前。ピンク色に染まるいわし雲が
藍色の空をわしわしと埋めてしまって、最早ロマンティックが止まらない。
我を忘れてあんまりうっとり見とれていたら、車に足のつま先だけ轢かれる。
ソレでも何だか全てはとってもとっても、眩しかったのです。



BACK
TOP