アヤワスカ:3
朝9時にボッガドアクレを出発。
おととい会った老紳士と息子は今朝は見当たらない。結局昨日もボートは出たらしい。
ボートつうより、カヌー。にお金を払って乗せてもらう事になった。
セウドマピア方面に向かう生活雑貨やら食料やらを乗せた運搬用の屋根の無いエンジンつきの木を
くりぬいただけの小さな、カヌー。
エンジンをかけた瞬間に、カヌーの横面で黒色のイルカがジャンプ!
カヌーはぐんぐんぐんぐん、泳ぐ。
川幅の広い水路から、段々と川幅の狭い水路へ。
時折、川岸に高床式の家が見える。所々に小さな集落があるらしい。
進めば進むほど、頭上を飛ぶ鳥の数が増える。
川岸には数十匹の黄色の蝶が渦を巻いて踊り狂う。
流木が川道をさえぎる。
時折、狭い川の左右から木々の枝が覆いかぶさる。姿勢を低くしてアタマを下げないとぶつかる。
手の平のカタチをした葉っぱを持つ緑の木。
まるで板のような平らな根っこを持つ緑の木。
小さな白い花を沢山沢山抱えた緑の木。
進めば進むほど、緑は、深まってゆく。
ああ、あまりにもあまりにもな圧倒的な、緑!!
緑が深過ぎて、いつしかランナーズハイに似た「アマゾンハイ」になった私は、
カヌーの舳先ギリギリのトコロに座り込んで大声で歌を歌っていた。
カヌーの運転手も大声で歌を歌う。
日本ブラジル共同開催のど自慢大会。でも2人とも鐘3ツ。カンカンカン。
歌声を乗せたカヌーは、更にぐんぐんぐんぐん、緑に、染まる。
日も落ちて暗くなると狭い水路を進むのは危ないので、親戚だ。という小さな小さな高床式の家に宿泊。
ろうそくも無い暗闇の中、ゴハンと魚のスープをご馳走になる。
ようやく目が慣れてきた頃に、蛍光黄緑の小さな光が、暗闇を、泳ぐ。
!!!
ほ・・・蛍?
蛍じゃん!蛍じゃん!
大騒ぎする私を運転手と家族は笑う。子供が蛍を追いかける。
みんなで川の字になって並んで寝る。
朝日が昇ると、さあ、出発だ。
家族に手をふってまた緑の中を、ぐんぐんぐんぐん、進む。
そういえばおととい、眠る前に、アヤワスカの最終おさらいとして、パソコンに保存しておいたアキラマニアの日記を
読んでいたんだ。
日記に「わたしとつながるすべてのものに」と言う歌の歌詞が掲載されていて、
その中に「あなたが花をながめるとき 花もあなたを見つめている」と言う一節があって、
ふと思い立って木製のベッドを見つめてみたら、何となく、何となくだけど、ベッドも私を見つめているような気がして、
ちょっとギクッとして怖くなって目をそらした。
そのまま目のやり場に困って天井を見上げると、窓の無い部屋なのにドコから入ってきたのか蛾が、飛んでいた。
唐突に、
あっ。AKIRAさんだ。AKIRAさんが来てくれた。
って、思った。
もちろん私がセウドマピアに向かっている事なんてAKIRAさんは、知らない。
つーか私の存在自体を、AKIRAさんは、知らない。
でも、AKIRAさんが蛾の姿になって、セウドマピアに行こうとしてる私を心配してくれに、応援してくれに、来て、くれた。
そう、思ったんだ。
でもその時の私は、うつ伏せになって、ちょっとかぶれて痒くなったお尻をペロリとズボンから出していたので
ソレを見たAKIRAさんは照れてしまったのか、スグにいなくなってしまった。
!!!
折角AKIRAさんがこんなトコまで来てくれたのに、私は何ケツ出してんだ!
慌てて廊下に飛び出すと、ジジジジジと大きな羽音を立ててトンボが、飛んで、いた。
あっ、AKIRAさん、今度はトンボになったんだ。
なんてぼんやりと眺めていたら、つい。と、トンボは、私の部屋の扉の上の壁に、止まる。
AKIRAさん、わざわざこんなトコまで来てくれてありがとうございます。
心配しなくても大丈夫ですよ。大丈夫ですよ。
でも・・・凄く凄く嬉しいです。ありがとうございます。
AKIRAさんに向かって親指をグッ!とつきたてて「ボン!(ポルトガル語でオッケーよ!の意味)」なんて言って、
ブラジル人がよくやる挨拶をして扉をバタリと、閉める。
そんなコトを思い出しながら、ただただ溢れる緑を眺めていると青い蝶が2匹、目の前を交差する。
カヌーの運転手が、叫ぶ。「マピアに着いたよ!」
川に架かる大きな大きな木製の橋の下では、木の枝をくくって川底に突き刺しただけのゴールで
半裸の子供達が水上サッカーをしながらキャッキャッと大きな歓声を上げて遊んでいた。
えっ!あまりに普通に普通過ぎる赤土の土手なんだけど・・・。
本当にココがセウドマピアなの・・・?
土手を上がるとソコは、木作りの高床式の家々が間隔を開けて並ぶ、緑の芝生の広がる、小さな小さな村。だった。
水上サッカーをしていた子供に連れられて、外壁が黄色に塗られた宿にチェックインする。
スタッフに、ダイミー(サントダイミー教ではアヤワスカのコトをダイミーと呼ぶ)を飲む為にセウドマピアへ来たのだと
告げると、今日の夜19時から早速アヤワスカのセッションがある事を教えられる。
えっ!今日?って言うか・・・あと数時間後?
えええ!!!ちょ、ちょっと待ってよ!
全然ココロの準備とか出来て無いんですけど!
何日かこの村に滞在して、落ち着いてからようやく飲む。位のつもりだったんですけど!
・・・でも、毎日飲める訳でも無いアヤワスカが到着早々飲めるなんて多分、大ラッキーだ!
有難く、セッションに参加させてもらおう!
宿のスタッフに教えられ、早速広場前の2階建てのレセプションに行き、ビジター登録をする。
ビジターは1週間につき50RS(約1,800円)の滞在費を支払うと、サントダイミーのセッションに参加出来る。
とりあえず名前や連絡先などを登録して、数週間分の滞在費を支払う。
滞在目的欄には「世界の全てが知りたい」と、書いた。
宿でサラダとゴハンと豆を煮たフェイジョンとふかしたマンジョーカイモの軽い昼食を、取る。
夜のセッションの為に仮眠を取ろうと想うけど、興奮して全然眠れない。
小さな穴の開いたあんまり意味の無い蚊帳の吊られたベットで何度も寝返りを打つ。
AKIRAさんのアヤワスカ!を少し読み返す。
そして夕刻18時55分。
女子は白いブラウスに黒ロングスカート、男子は白いシャツに黒いネクタイに黒ズボンのサントダイミー教の服を着て、
そして私は白いTシャツにインド綿のロングスカートを着て、連れ添って宿を出る。
広場を抜けて、六角形の形をした大きな教会へ向かう。
教会へ向かう道すがら、初めてのアヤワスカが怖くて仕方無い。
どんな風になっちゃうんだろう。怖いな。怖いな。
恐怖を紛らわす為に、下を向いて小さな声で歌を歌う。
でも、完全に声が震えちゃってる。よっぽど怖いんだな。私。
大きな大きな木作りの教会の入口には天使の絵。
ノートに名前を書いて教会内部へ。
既に随分沢山の人がいて、歌を歌っている。
サントダイミーの、歌だ。
歌を終えると男女別に分かれて教会通路の小さなカウンターにアヤワスカを飲みに行く。
サーバー係が生サーバーから小さなコップに一見どろりとした少し緑がかかった茶色の液体、アヤワスカを注いでくれる。
みんなぐいと一息に飲み干すと、十字を切っている。
十字か。郷に入っては郷に従え。って言うけど、私が十字を切っても全然ココロ込めれ無いからなぁ。
いつも通り、ゴハンを食べる時に「いただきます」とするように、両手を合わせて、拝もう。
自分の順番がきてサーバーの前に立つ。
あっ!おっさん!今、手元滑ったでしょ!
私のコップ、明らかに前の人達よりアヤワスカの量多いでしょ!
マジかよ!勘弁してよね・・・。
コップを受け取り、かかげて、「よろしくお願いします。」なんて少し拝んで、
超不味い。って話だったよなぁ。なんて想いながら、
一息に、ゴクリと飲み干す!
・・・苦い!!!つーか、緑色の味!!
でも、吐く程の苦さじゃないな。大丈夫。大丈夫。
コップを置いて両手を合わせて「ありがとうございます。」なんて再度拝んで、教会内部へ。
教会内部は大きな六角形のテーブルを中心に広がっていた。
六角形のテーブルの真ん中には教会を支える大きな柱。
テーブルにはジャングルの花が沢山飾られている。
円形に広がって全員がイスに座る。
一番後ろの長椅子に座る。
30分位でビジョンが始まるんだっけ。
始まるまではどんな風なんだろう。超緊張するよ・・・!
祈りの言葉に続いて、歌が始まる。
どうして良いのかマジでわからないので、とりあえずおとなしく座っている。
ただただ時間が流れる。
・・・何にも見えてこないよ・・・?
今ドレ位時間が経ったのかな?
何だよ何にもならないじゃん。何だよ〜。期待し過ぎちゃったよ〜。
あー首のトコロ、蚊に刺されちゃったよ。痒いなぁ。
首をボリボリ掻いたりしていると、隣の人が小刻みに震えている事に気が、つく。
あれ?隣の人、アヤワスカが始まってる・・・?
そう想った瞬間に、唐突に「光」が、見える。
・ ・・あれ・・・?光?
光が、見える?
光・・・だ!光が見えるよ!!!
湧き水のごとくどくどくと沸き上がる光!
北風のようにびゅんびゅん吹く光!
太陽のようにさんさんと降り注ぐ光!
メリーゴーランドのようにぐるぐる回る光!
光の・・・洪水だ!!!!
全てのモノに光はぐんぐん流れていて、全てのモノの中に大きな大きな光があるよ!
世界は世界は・・・光で満ちているよ!
そして、その光は、その光は、空に空に向かって沢山沢山昇ってゆくよ!昇ってゆくよ!
高く高く!もっと高く!!!!
ああ、もっと高くもっと高く・・・!!!!!
ビジョンを見ながら、思考も、働く。
凄い凄い!本当にビジョンが見えたよ!
凄い凄い凄い!!!!!
凄いな。コレ。いやマジで!
そんな風にうっとり見とれていると、不意に、吐き気を、もよおす。
あれ・・・?
何かちょっとキモチ悪いかも。
いや、でもアヤワスカは尿意や吐き気がする時もあるって言ってたっけ?
ええと吐きたくなったらどうするんだっけ?
吐けば良いんだっけ?
吐くの我慢するんだっけ?
あれ?
どうするんだっけ?
どうすれば良かったっけ?
何だっけ何だっけ何だっけ何だっけ何だっけ?
あれ?あれあれあれあれ・・・・・・・!?
!!!!!!!!
気がつけば、両手をダラリとおろして、足を投げ出して床に、座り込んで、いた。
?????
あれ?何で床?
あれ?
今私何してたんだっけ?
あれあれあれ?
私の体を支えてどこかへ連れて行こうとしてるこの女の人達は誰なんだ?
日本人じゃないみたいだし・・・?
ココは日本じゃ無いのかな?
あれ?じゃあ、ココはどこなんだ?
あれ?私何で片足、ハダシなんだろう?
両足共ビーチサンダル履いて無かったっけ?
あれ?白いTシャツに茶色のシミがついてる・・・?
何だコレ・・・?
体を支えられたまま教会内の小さな部屋に連れて行かれ、薄い布をひいた床に寝かされる。
随分時間が経ってようやく、私は今セウドマピアにいて、セッションでアヤワスカを飲んだのだ。と、思い出す。
直後、あごに鈍痛が走る。
・・?痛い・・・?何で痛いんだ・・・?
ふと、あごに触れてみると、指にべったりと血が!
!!!!!!!!
何で!?何で血!?
Tシャツを見ると、ところどころに血の跡が!!!!
なおかつクチの中にはコロコロする感触が・・・?
何だコレ・・・?何か食べちゃったのかな・・・?
吐き出すと、歯。の、カケラ!
!!!!!!!!!!
混乱したまま慌てて小学生の時の交通事故で折った差し歯の前歯を触るも、前歯は、ある。
ド、ドコ!?ドコの歯・・・??
確認する為に全ての歯を舌で、舐める。
・・・右奥歯、が、欠けてる!
歯、欠けちゃった!!!
クチを開いて何かしゃべろうにも、いつもの半分位しか開かない。
何だ何だ何があったんだ?
どうしちゃったんだ?私?
そのまま随分長い間呆然として、そして状況判断で、考える。
セッションの最中、前のめりに倒れて前のイスにしたたかに顎を打ちつけて
ブッ倒れたらしい・・・?
・・・何してんだ!私!!!!!!!!!
バックパッカーごときが観光地でも無い小さな村まで来て何やってんだ!
普通に普通に生活してる人達の大事な大事なセッションに入り込んで何ジャマしてんだ!
つーか、何ブッ倒れてんだ!何やってんだ!
・・・また人に迷惑かけた・・・!
人に迷惑かけたくないから旅の途中から意図的に誰とも接しないように出来るだけ1人で行動してたのに!
ノコノコずうずうしくもこんなトコまで来ちゃって、また知らない人に迷惑かけてんじゃん!
最低!自分!!!!!!!!
動けないまま呆然と低い天井を見つめていると、アヤワスカを飲む直前に少し話をした、
くりくりカールのカワイこちゃんのナルが、隣に座ってくれて手を握ってくれる。
あごから首にかけてしたたる血をティシュで拭いてくれる。
「痛くない?」
「ありがとうねナル。大丈夫だよ。大丈夫だからナルは教会に戻りなよ。大事なセッションでしょ?」
「うん。でももうちょっとココにいるよ。」
「ありがとうね。でもね、もうね、人に迷惑かけるの本当にイヤなんだ。
誰かに迷惑かけるの本当にイヤなんだ・・・!」
「全然迷惑なんかじゃ無いよ。本当だよ。」
「でも・・・でも・・・!」
「ココにいたいから、ココにいるよ。」
強く強く手を握ってくれるナル。
胸がぎゅう。って、なる。
この間までいたボランティア先で一緒に働いていたトワコちゃんの言葉を思い出す。
「イワセちゃんが思うほど、イワセちゃんは人に迷惑なんかかけてないよ。
全然大丈夫だよ。例え何か仕方なく迷惑かけちゃったたとしても、全然気にしなくてもイイんだよ。
それに、イワセちゃんは大事だよ。
だって・・・一緒に働く仲間じゃない!
イワセちゃんが嬉しいと、私も嬉しいよ。イワセちゃんが悲しいと、私も悲しいよ?」
トワコちゃんにしてもナルにしても、何でアンタ達そんな優しいんだ!
私、他の人に対してそんな風に思えてないよ!
私、他の人に対してそんな風に何かをしたりした事ないよ!
「誰かに何かをもらったと思えば、その時その人に返せなくても、いつか誰かに何かで返せば良いんだよ。」
再度、トワコちゃんの言葉を思い出す。
とりあえず今は私は何も出来ないけど、いつか誰かに何かが出来るかな?
ありがとね。ありがとね。
ナルの手をぎゅう。っと握り返す。
涙が、止まらない。
しばらくしてナルはセッションに戻ってゆく。
私の傷は随分大きいらしく、血は止まらず、思い出したように時々、したたる。
横になったままの姿勢で首筋に幾度も血が流れる。
その度に誰かがそっ。と拭いてくれる。
一度なんかは「あー血がまた垂れてる。動けないなぁ。誰かが拭いてくれないかなぁ。」とか
甘い事を考えていたら、その直後に誰かが拭いてくれてビックリする。
・・・何で?何で私の考えてた事わかったの?共振(シンクロ)ってヤツ?テレパシー?
「アヤワスカの世界ではどんな事も起こりうるんだよ。」
AKIRAさんの本にあった言葉を思い出す。
たまたま想ってた時に、たまたま拭いてくれただけで、全然偶然なのかもだけど、
同じアヤワスカを飲んで、同じ空間にいるから、想いが飛んだのかな?と、凄く非現実的だけど、そう思えてしまう。
でも、自分の事は自分でするのが当たり前だよなぁ。と想い直して、その後は動けなくても、
頑張って動いて、自分で、拭く。
旅をしていて、良い人ばっかりに出会えて、みんな親切で、何だかいつの間にか人に親切に
されるのが当たり前になってたかも。
善意を当たり前だと想うなんて、図々しいよなぁ。
随分時間が経って、落ち着いた私は、起き上がって、布の上に、座る。
とうとうアヤワスカを飲んだよ。
でも、ソレがどうだって言うんだろう。
確かにビジョンは、見えた。
でもソレがどうだ。って言うんだ。
アヤワスカはただアヤワスカなだけだ。
ソレ以上でもソレ以下でも無い。
アヤワスカが私に何かしてくれる訳じゃない。
何かをするのは、結局私自身だ・・・!
でも私は何が出来るかな?何をしなくちゃいけないのかな?
・・・全然わかんないよ。
何も出来ないけど、とりあえずは、今、自分が出来る事だけ、しよう。
とりあえずは、ソレしか、出来ない。
次々に部屋にやってくる調子を悪くした人達。
不安気な顔つきで床に横たわる。
この人達もみんな不安なんだ。
今この場で私が出来る事は何だ・・・?
私はさっきナルに手を握ってもらえて凄く凄く嬉しかったよ。
同じように、手を握られたら、嬉しいかな。安心するかな。
大丈夫だよ。大丈夫だよ。
何が大丈夫なのか全然わかんないし、でも、無責任かもだけど、
きっと全て、上手くゆくよ。
そう、思うよ。
大丈夫だよ。
クチにしなくても伝わるように、強く想って想って、横たわるその人達の手を強く強く、握る。
少し驚いた顔で私を見つめ返す。
そして、ゆっくりと、笑顔になって、くれる。
嬉しい気持ち、が伝わってきて、私も、嬉しい。
つーか、手を握られてる方にしてみたら顎からドクドク大量の血を流してる私の方が大丈夫じゃないように見えるよね。
そんな人に笑顔で大丈夫!って言われたら、確かに自分は大丈夫って思えるかも。
誰かのすすめでアヤワスカをまた、飲む。
もうビジョンは見えないけど、その度に深い「思考」に、入る。
旅の事、今までの人生の事、そして今後の事を、振り返ったり、反省したり、気がついたり、感謝したり、する。
誰かにしたイヤな事とか、誰かにされたイヤな事とかも思い出したりするけど、ヘコむ。とかでは無く、
むしろソレですら、感謝に変わる。
例えば過去に何かトラブルがあったとする。でも、今考えればそのトラブルがあったからこそ、
私はある事を学ぶ事が出来たし、ソレが無ければ更に大きなトラブルを呼んだかもしれない。
今までの行為や出来事は全て何かの為だった。全てに理由があった。
今やってるか何かも、今はわからなくても、これからに続く何かの為。
そんな風に前から漠然と考えていた事が、実感となって、理解、出来る。
だから、とにかく、まずは目の前の事を、きちんとやろう。
全部全部、後々の自分の為だよ。
私は基本的に逃げ逃げ人生だったよ。でもコレからは、少し、立ち向かってみよう。
いつかの、自分の為に・・・!
きっと、全部上手くゆくよ。きっと全部上手くゆくよ!
教会では祈りの歌が響いているよ。
全員が立ち上がってチカラ強く歌を歌っているよ。
ポルトガル語の歌詞なんて全然わからないけど、何だかステキなリズムだ。
教会内部の元の席に戻った私は気がつけば1人、ステップを踏んでいた。
何度も何度も同じ歌が歌われる。
沢山の歌声は教会の高い高い天井に吸い込まれてゆくよ。
ああ、ああ、世界は、本当に本当にキラキラと輝いているのかも知れないね!!!!!
そうして、6時間に及ぶセッションは終わり、私はドクターに診察を受ける。
傷口が完全にパックリ開いている。
血がしたたるのも気にならない位、セッションが素晴らしかったんだよ。
横になってた方がイイってわかってたけど、寝てられない位、アヤワスカが素晴らしかったんだよ。
ドクターにそんな事を伝えると、少し、笑われる。「そうね。」って。
翌日、昨日のセッションは何故か村民の参加がいつもに比べて凄く少なくて、
「教義についてくる気が無いのなら村を出てゆけ!」と偉い人が説教をしていて、
全員がその負のエネルギーに引っ張られちゃって、いつものセッションと雰囲気が全然違ったとの事。
体調を崩した人が沢山いたとの事。
「そういうエネルギーを凄く受けちゃったんだね。可哀相に。」なんて言われる。
「(ブッ倒れちゃって)教会にいた全員の人に迷惑かけました。すいません。」と言うと、
「むしろこっち(アヤワスカ)が迷惑かけちゃったね。」
そんな!!!!
「でもね、実際、アナタが倒れたのを見たのはアナタの周りのほんの少しの人だけだし、
それにね、アナタが大きな音を出して倒れて、その音でみんなハッと我にかえったりして
自分を取り戻せたりしたから、その人達にとってはむしろ良い事だったんだよ。
アナタにとっては、凄く凄く大変な事だったけどね。」
そう言われると、救われます。
ありがとうございます。
顎に大きなガーゼをつけたまま、診療所や村の売店に行ったりしているとスレ違う人全員に
「顎のトコロどうしたの?大丈夫?痛くない?」なんて声をかけられる。
私がブッ倒れた事を知ってる人も、全くの初対面の人も、みんな心配気な顔をして覗き込んでくる。
「ちょっとだけね、痛いけどね。全然大丈夫だよ!ありがとね!」なんて元気に答える。
優しい人達だなぁ。
優しい村だなぁ。
ほんの少しの間だけど、私はこんなステキな人達の住むステキな村に滞在出来るんだ。
嬉しいなぁ。
村には赤色やピンク色、黄色の南国ムードな花があちこちに咲き乱れる。
ココは本当にフローレンス(花園)だなぁ。なんて想いながら、鼻歌混じりで血のついたTシャツをゴシゴシと洗う。
青い蝶が鼻面を横切って私は小さな小さなくしゃみを、ヒトツ。
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